レズ風俗法律相談Q&A『教えて!弁護士ばやし先生!』第四弾「ご利用規約の法的効力について」

2022年10月25日

レズ風俗法律相談レズ風俗レズっ娘グループ代表『御坊』が、風俗トラブルに強いグラディアトル法律事務所所属弁護士ばやし先生(@_devilsadvocate)こと若林翔先生に質問していく法律相談Q&Aコラムです。
今回は「ご利用規約の法的効力」についてお聞きしてみたいと思います。

ご利用規約とはどういったものですか?

お客さんがあるサービスを利用したり、お店側がこれを利用させたりする合意をすることは、”契約”にあたります。

契約は、原則として両当事者がその内容を自由に決めることができます。これを契約自由の原則といいます。契約について具体的なことを定めなかった場合は、民法等の条項に従うことになります。

また、そもそもそのような内容の合意をしたか否か自体が争われる可能性もあります。そこで、合意の内容を明らかにするために契約書が結ばれることになります。

そのような意味では利用規約も契約書の一種となります。

契約書での契約との違いを教えてください。ご利用規約の法的効力はありますか?

契約書における契約との違いとして目立つものとしては、利用規約が不特定多数の利用者を想定して作られている点、予め一方当事者が作成し提示している点です。

つまり、利用者は、内容についてサービスの提供者と交渉を行うことはできないし、サービス利用者以外も利用規約の内容を知ることが可能になります。

このような点は、個々の契約毎にオーダーメイドで作られる契約書との大きな違いといえます。

利用規約は、その多くが「定型約款」であると解されています。

定型約款に関しては、民法改正で新たに条文が追加されました(548条の2~548条文の4)。

定型約款であるということができるためには
1定型取引においてなされること
2契約の内容とすることを目的としていること
3その特定の者により準備された条項の総体であること
となります(548条の2第1項かっこ書き)。

定型取引ということができるためには、
1-1ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であること
1-2その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的であること
が必要です(548条の2第1項かっこ書き)。

定型約款を用いた場合、

①定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき、又は、②定型約款を準備した者があらかじめ定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたときは相手方は個別の条項にも合意したものとみなされます。

つまり、その内容は法的効力を持つことになります。

ご利用規約を守らなかった場合の判例などはありますか?

守らなかったこと自体が争いとなった裁判例というのは、それほど多くありません。もっとも、利用規約の条項が相手方の利益を一方的に害する条項であったり(不当条項)や相手方が合理的に予測できない内容であったりした(不意打ち条項)場合は、その条項には同意しなかったとみなされます。

なんらかの請求をされた場合、根拠となった条項が不当条項等であったかが争われた事例はあります。

東京地裁令和3年5月19日判決は、利用規約において一定の商品を転売禁止とし、これに違反した場合の違約金を定めていたECサイトXが、転売禁止商品の転売をした利用者Yに対して、違約金50万円の支払いを求めた事案です。裁判所は、①利用規約上は、違反者は違約金支払いの対象となる転売禁止商品と違反しても契約が解除されるにとどまる転売防止措置商品があったこと、②問題となった商品が転売防止措置商品であるかのような説明がされていたこと、③購入者が必ずチェックする場所に転売禁止条項に違反した場合の措置が記載されていなかったこと、④問題となっていた商品の価格に比べて違約金が高すぎることから、利用客に対する不当な不意打ち条項であるとして、この条項については合意しなかったものとしました。

ーなお、当グループでは『利用規約を同意しました』というチェックボックスにチェックを付けないとご予約フォームから送信できなくしています。つまり、お客様がご利用規約に同意しないと予約できない仕組みを取ってます。

レズっ娘グループの現状の予約方法やご利用規約に法的効力はありますか?

現状の方法であれば、相手方はチェックをすることで定型取引を行うこと自体には合意したことになると解されます。

しかしながら、「個別の条項についても合意したと」いうことができるためには、「定型約款を契約の内容とする旨の合意」又は「定型約款を準備した者」によって「あらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していた」ことが必要となります(民法548条の2第1項各号)。

そのため、「当グループ利用規約が適用されることに合意します」と記載したチェックボックスを設けたり、契約締結までの間に同一画面上で利用規約を認識可能な状態にする必要があるでしょう。

また、少なくとも利用に当たって、相手方に規約が表示されていたといえます。ですので、利用規約に同意したことになると解されます。

しかしながら、先にあげた裁判例のように、「条を確認しました」というような表示をするだけでは足りないものと思われます。実際の規約の内容を表示する仕組みであれば、問題はないでしょう。

もっとも、「相手方の権利を制限し」たり、「相手方の義務を加重する条項」のうち、社会通念に照らして相手方の利益を一方的に害するような条項というのは、合意がなかったものとみなされます。

もしこのような条項があった場合、相手方はその条項には合意しなかったことになります。すなわち、その条項は法的効力を持たないことになります。そうすると、これらはトラブル発生時に使えない条項になってしまいます。これを避けるためには、そのような条項を削除してしまうか、相手方に一方的に不利にならない条項にする必要があります。

「相手方の権利を制限し」たり、「相手方の義務を加重する条項」か否かの判断は、その条項がある場合とない場合を比較して、相手方が不利になっているか否かで判断されることになります。

―ありがとう御座いました。

【後日】ご利用規約を改訂しました!

なお、早速、この取材のあとスグに、グラディアトル法律事務所にご利用規約やご予約フォームをご確認いただき、問題になりそうな箇所を修正し、より法的効力のあるご利用規約に改訂することが出来ました。

ご利用規約については、お客様とキャスト双方が安心安全にご利用、ご案内ができるための必要最低限のルールでもあります。

なお、ご利用規約については、当グループティアラ大阪店のベテランキャストゆうさんのコラム内でも度々登場しますので、そちらも確認してみてくださいね!

コラムのなかで紹介している通り、しばしばお客様のほうから「あっ、これってダメなんだよね。ご利用規約に書いてあったよね!」と言ってくださることもあるようで本当に助かっております!

御坊でした!