レズ風俗法律相談Q&A『教えて!弁護士ばやし先生!』第一弾「風俗営業の届出とは」
レズ風俗レズっ娘グループ代表『御坊』が、風俗トラブルに強いグラディアトル法律事務所所属弁護士ばやし先生(@_devilsadvocate)こと若林翔先生に質問していく法律相談Q&Aコラムです。
記念すべき第一弾となる今回のテーマは「風俗営業の届出」について!
風俗(性風俗店)という業種の法的な定義や、今後のレズ風俗というご利用するキャストもご案内するキャストも同性の場合の「風俗営業の届出」についての見解などを聞いてみました。
※レズ風俗レズっ娘グループは2007年創業以来、グループ全店で新風営法届出済の優良店です。
- 1. まずは飲食店などの風営と性風俗店の風営の違いや種類などを教えてください。また、性風俗店の定義についても教えてください。
- 2. 最近、メンズエステが問題になってるというニュースをみたのですが、いわゆる一般の男性向け風俗のような業態(男性のお客様、女性のキャスト)で風営を届出しなかった場合に考えられるトラブルや法的リスクなどはありますか?
- 3. 現状として、ご利用するお客様もご案内するキャストも同じ性別の場合、届出する必要はないとされているかと思います。”レズ風俗”や売り専で届出をしなかった場合と届出した場合に考えられるメリットを教えてください。
- 4. レズ風俗に面接に行って、系列の男性向け風俗への在籍を促したり、AVプロダクションなど別業種へ紹介されるといった悪質なレズビアン風俗店もあると聞きました。このようなことは法には触れないのでしょうか。
- 5. 今後、レズ風俗など同性向け風俗でも風営法の届出が必要になると思いますか?届出している方が良いと思われますか?個人的なご意見で結構です。
- 6. まとめ
まずは飲食店などの風営と性風俗店の風営の違いや種類などを教えてください。また、性風俗店の定義についても教えてください。
風俗店営業の定義は、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)2条にあります。
一方で、性風俗店の定義はいくつかありますが、たとえば
ソープランド
ソープランドであれば、「浴場業……の施設として個室を設け、当該個室において異性の客に接触する役務を提供する営業」(風営法2条6項1号)
箱ヘル
箱ヘルであれば「個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業」(同2号)
デリヘル
デリヘルであれば「人の住居又は人の宿泊の用に供する施設において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業で、当該役務を行う者を、その客の依頼を受けて派遣することにより営むもの」(風営法2条7項1号)となります。
接待飲食等営業
接待飲食等営業(風営法2条4項)における「接待」とは「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」をいいます(同3項)。
最近、メンズエステが問題になってるというニュースをみたのですが、いわゆる一般の男性向け風俗のような業態(男性のお客様、女性のキャスト)で風営を届出しなかった場合に考えられるトラブルや法的リスクなどはありますか?
店舗型性風俗特殊営業を営業するためには、届け出が必要です(風営法27条)。
この届け出をしないと無届営業となり、6月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金を処される可能性があります(風営法27条、52条4号)。
その場所が店舗型性風俗特殊営業の営業禁止区域であった場合は、禁止区域営業となり、2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処される可能性もあります(風営法28条、49条5号)。
また、当然ですが逮捕されるリスクもあります。
また、そもそも表向きはエステ店なのにヌいているところを盗撮されてしまったという場合では、店にとっては風営法違反の証拠ともなるため、被害を警察に届け出ることに対して非協力的となるといった可能性もあるでしょう。
なお、店舗型性風俗特殊営業については、実質的に新規の開店ができなくなっています。
現状として、ご利用するお客様もご案内するキャストも同じ性別の場合、届出する必要はないとされているかと思います。”レズ風俗”や売り専で届出をしなかった場合と届出した場合に考えられるメリットを教えてください。
風営法の規定は、「異性の客に接触する役務」が対象なので、同性向けに同様のサービスを提供するようなお店は、届出が必要ということにはなりません。
また、届出を行った場合は、禁止区域、営業時間の制限等の風営法の規制を受けてしまいます。
一方で届出を出した場合は、きちんと運営しているというような印象を持ってもらえるとは思います。
レズ風俗に面接に行って、系列の男性向け風俗への在籍を促したり、AVプロダクションなど別業種へ紹介されるといった悪質なレズビアン風俗店もあると聞きました。このようなことは法には触れないのでしょうか。
職業安定法は、「公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務」(有害な業務)の「職業紹介、労働者の募集」(あっせん)を禁じています(職安法63条)。
有害な業務とは、社会一般の道徳観念に反する業務をいい、労働者保護、善良な風俗の保護という観点から有害と判断されるものとされています(神戸地裁平成14年7月16日)。
上記判例はピンサロの事例ですが、この基準に当てはめると一般的には、性風俗店やAVは有害な業務となります。
したがって、店が、他の男性向け風俗店やAVを紹介したということなら、有害な業務を紹介したということになるので、職安法違反となるでしょう。
今後、レズ風俗など同性向け風俗でも風営法の届出が必要になると思いますか?届出している方が良いと思われますか?個人的なご意見で結構です。
現代は、禁止区域が広く実質的に店舗型の性風俗特殊営業を行えない場所が多いのでこのような規制を受ける届出はしない方がよいかと思われます。
一方で、届出をしない場合であっても、世間の目としては、風俗店に分類されてしまうでしょうから、健全運営を図るために従業者名簿を整えておく等の対策をして業務の健全化に努める必要はあると思います。
また、LGBTに対する世間の関心が高まり、レズ風俗など同性間の風俗についても社会の耳目が集まっている現状を考えれば、今後、同性間の風俗についても、異性間の風俗同様の規制がなされる可能性があると思います。
― ありがとう御座いました!
まとめ
個人的に「風俗(性風俗店)」については、最低限として「風俗営業の届出」しているお店のことを指していて、最低限「風俗営業の届出」していない違法店や脱法店は
”風俗店(性風俗店)ですらない。”
と考えております。
・参考 東京出店が遅くなった本当の理由「脱法レズ風俗店にしたくなかった。」(旧レズ風俗代表ブログ 2019年7月22日記事)
今回、若林先生からご回答いただいた「性風俗店」の定義についてや、異性間の風俗について深く勉強になりました。
次回のテーマは、今回のテーマでも少し触れた求人について、「スカウトや紹介での性風俗店への入店」について、より深くお聞きしようと考えております。
お楽しみに!
・協力 グラディアトル法律事務所